【78】ふう

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

ふう

ふう


落葉高木。 「カエデ」と「フウ」の読み違い。
みんなで読めば間違いも正しで、今は楓は「カエデ」と呼ばれることが多いが、楓(フウ)と言われるれっきとした木である。
台湾原産、成長早く、高さ30mにもなり時に40mにも及ぶ。直径2mにもなる巨木もある。
公害の抵抗性強く、幹は通直、樹形は端正雄大、枝状多く、整然としている。
樹皮は幼木では灰褐色、平滑、老成して帯紅黒褐色、外皮は多少剥離する。
樹脂は芳香あり、楓香脂と言って薬用、花は4月、果実は10月に成熟 する。
公園、庭園に植栽または盆栽として観賞される。秋には葉は紅紫色になる。萌芽力はあるが剪定を嫌う 肥沃な深層土を好む。
文学では楓を楓と読ましている。
「花楓なほ稚なき女のありて」(山口誓子)「若楓一降り降って日が照って」(来山)「いつまでも寒さほどけず楓の芽」(岡林関月)等、古くは槭の字をカエデと呼んでいる。
用材は一般家具に使用。