【85】みつまた

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

みつまた

みつまた


落葉低木。高さ2m前後。中国中南部原産。 本州関東以西、四 国、九州に植栽。
中国から日本への渡来は室町時代とされ、大量に作られるようになったのは天明年間(1770年)以後に静岡県東部で駿河半紙が出来て、静岡県がミツマタ紙の始まりの土地とされている。
今もこの地方が製紙工場が多い。
7月頃に新しい枝の先端が急に三本に分れて伸びる ので三股の名がつけられたのだが、3、4月頃に葉に先だって咲きだし黄金色の花の外面を白色の長い絹毛がおおい、庭園樹として常用される。
また、樹皮は和洋紙の材料として使われる。
繁殖は実生、さし木ともによい。
「ミツマタ」の繊維は強靱性に於てやや劣るが、繊 維で、耐伸、耐折強度、弾力性に富み、さらに光沢にも富む。
その紙は堅く精巧な印刷と特殊な漉き入れ法にも適するので紙幣用紙、局紙、証券紙、鳥の子紙などの高級紙となり偽造防止の役に立ってきた。