【87】むくのき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

むくのき

むくのき


落葉高木。高さ20m、直径1mにもなる。暖帯樹で本州中南部、四国、九州、台湾、朝鮮、中 国に生育する。山地に生えるが、しばしば人家付近や道路脇に植えられ緑陰を作る。
私の家の庭にこの椋と榎の二本があって当初は榎が 二本あると思っていたがよく調べてみると、一方の木は幹がややなめらかで葉がやや長く椋で、葉の短い幹のあらいのが榎である事がわかった次第である。
春新芽と共に淡緑色の単性花をつける。果実は紫黒 色で食べられる。よく小鳥が寄ってくる。
葉がざら ざらしているので木地やべっ甲を磨くのに使われる。
材は折れ難く弾性があるので天秤棒、斧の柄に使用する。
都会地に少なくなっているのは大気汚染に弱いらしい。
むくの名は葉で物を磨くのでむくという意味か。
「ムクエノキ」の名で呼ばれているのは榎類で皮が剥けるから剥く「エノキ」と名づけられたとか、あるいは茂くで茂る樹の意味等の諸説あるが人に親しまれていたためであろうか。