【93】やどりぎ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

やどりぎ

やどりぎ


常緑低木の寄生木。高さ50cm、北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島、 中国大陸に分布する。
エノキ、ケヤキ、ニレ、アカシデ、クリ、ブナ、ミズナラ、カシワ、クワ、ヤナギ、サクラ等、落葉広葉樹の枝上にはえている。
寄生植物の根は宿主の木に深く食い込み、養分をえている。
地中に伸びるような、ふつうの根はもっていない。
私の郷里、紀州御坊の日高・別院に直径3mもある大きな老銀杏の木があり、冬、葉がすっかり落ちた枝上に青い葉をつけた「やどりぎ」だけが生々としているのを見つけて秋には黄色の葉をたくさん落としてくれてその葉を集めて角力をするのが楽しみであったので、やどりぎに今にも養分をとられてしまって枯れるように思え取ってやろうと何度も試みたが、樹が大きく枝下が高くなきらめて眺めるばかりであった。
最近訪ねてよくよく見るとそれはやどりぎでなくあこうで鳥が運んで来たものと判った。
用途は枝葉を鎮痛、通経、利尿、高血圧、動脈硬化てんかんの薬等に用いる。
実は鳥もち代用、実のつ いた枝は英国等でクリスマスの飾りにする。
 花言葉は「征服」。