【88】めぐすりのき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

めぐすりのき

めぐすりのき


落葉高木。雌雄異株。高さ10m、直径40cm、時には高さ25m、直径70cmにもなる。本州(山形県、宮城県以南、四国、九州に分布する。 湿帯の湿気ある谷間や中腹の緩傾斜地に育つ。
庭園樹、風景地の景観木に良い。
材は器具材として使われ、樹皮は煎じて洗眼用とし て民間薬で賞用されているのでこの名がついた。
どういうわけか長者の木と呼ばれるが、その意味はわからない。
また葉が三出複葉なので「ミツバカエデ」とか、「ミツバツパナ」と呼ぶ所もある。同じく三出複葉の「ミツデカエデ」も同様に呼ぶので混同しやすい。
関東秩父地方では材の堅い「メグスリノキ」を「イシッピャータ」、材の柔かい「ミツデカエデ」を「オガラッピャータ」と呼んで使いわけている。
中庸樹だがやや陽性を帯び成長はやや早く、秋には美しく紫紅色に紅葉する。
実は大きく4~5cmの翼果で10月に成熟、枝頭の葉腋に下る。
黄褐色の軟毛が密生する。
繁殖は10~11月採種、陰干しで湿り気のある砂とまぜて貯蔵し、春播種すると良い。