【86】むくげ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

むくげ

むくげ


落葉低木。中国原産、高さは3mくらいになる。日本には平安 朝に渡来。
風にも強く、強い刈込みにも耐えるので生垣として、また庭の観賞用に植えられ、茎はよく分枝する。
枝は灰色で、花は8~9月に開き、直径は5~7cm、淡紫色、淡紅色、白色、単弁または重弁と種々ある。
朝に咲いては夕にすぼみ次々とこんなにたくさん蕾があったのかと思う程たくさん咲く、槿果一日の栄という。
生花にしても数時間しか持たない。それだけに茶花に愛用される。 今日の客のために今露地から切って来て差した感慨が一入するからであろう。
材は白色で行李等に使用する。
樹皮は強靱で蓑を作り、紙を漉いて、白花のムクゲの蕾をつんで陰ぼしにしたものを木槿花といい、漢方では胃腸カタルや下痢などに効果がある。
煎じて薬用に供するが、これを味噌汁に入れてもおいしいという。
木皮、根皮も漢方で は槿皮と言い胃腸約、葉は若葉をゆでお茶代りに用い、また葉をねばるまでもんだものは痔に特効がある。
韓国の国花でもある。