【96】やまぐわ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

やまぐわ

やまぐわ


落葉高木。高さ10mにもなる。
日本に野生し、北は北海道から 日本全土、朝鮮、中国、ベトナム、ビルマ、ヒマラヤ、インドまで分布する。
葉身は卵形、切れ込みはいろ いろで、基部は浅い心形から円形、長さ6~13cm、上面は無毛、下面には毛がわずかにある。花は4、5月頃に咲く。 「クワイチゴ」は6月~8月に熟し、長さ10~16mm、赤くなってのち黒くなる。
材の心材は黄褐色、辺材は淡黄白色、黄褐色と淡黄 白色のコントラストが見事である。
 床柱や床板、家具、額縁、三味線の胴、彫刻に用い る。
一般に畑に植えている「クワ」を「ヤマグワ」と区別するため「カラグワ」(唐桑)、「マグワ」真桑)と呼んでいる。
「ヤマグワ」は「カラグワ」と比べ葉の鋸歯が尖っていること、子房に長さ約2.5mmの花柱が浅く分れていることである。
「ヤマグワ」の実はシロップを作り、のどや胸の病気の薬に使う。
醸造して酒とするが長持はしない。