【80】ほおのき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

ほおのき

ほおのき


落葉高木。高さ25m、直径1mになり真直ぐ立ち、まばらに分枝、温帯樹で北海道、本州、四国、九州に生育する。
5月頃に直径12~18cmの帯黄白色の大輪の花が直立する。
果体は12~20cmになり長楕円体で秋に成熟し、紅紫色になって美しい。
葉は長さ30cmにもなり朴葉味噌に使い、移り香が良いので、端午の節句にこの朴に柏葉餅を包む村里が多い。
若葉は帯紅色で美しい。
朴の木の素地の材は木地白く冬目のたっていない事から、飾り気のない事を素朴という。
材は軽くて、きめ細かいので図板、器具材、印刷板、版木、刀鞘、下駄(朴葉下駄)、漆器木地、箱、裁板、ピアノ鍵盤、彫刻材など広く賞用されている。
樹皮は灰白色で目立ち、これをはいで乾燥させたものを厚朴といいその煎汁は健胃剤や駆虫剤などにする。
私が学生時代過した三重高等農林近くの農家では田植の初日の昼食は家の主人が朴の小枝を頭上にかざして田に行き、田植をしている早乙女達がこの葉を一枚宛ちぎり御馳走を盛って食べる習慣があった。