【77】びろう

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

びろう

びろう


常緑小高木。
雌雄異株。
九州、沖縄、小笠原島及び、台湾の暖地の島及び海岸 に近い森林中に自生する。
幹は高さ3~10mに達し シュロよりも太く直立し、枝分れせず基部は膨大する。
葉は掌状で長い柄は背面の丸い三角柱状で左右に陵がある。 葉は白茶けた緑色で円形に近い先の方が垂れ下 ったもの多い。この葉で扇を作ったり編んで笠にする。
日本書記では「アジマサ」と言い、沖縄、九州では 「クバ」と呼ぶ。
春になると葉腋から大きな円錐花序を出し小さな花をたくさんつける。果実は楕円形又は倒卵形、長さ1.5cm、冬、青磁色に熟す。
幹は丸太のまま床柱に使用され、また弓、矢にも 使用される。
九州の街路樹によく見られるのにこれに似たワシン トンヤシで葉が枯れてもすぐに落ちないで幹に垂れ下り次々に何枚も重なる。
ペチコートのように見えるのでペチコートヤシとも呼ばれる。
葉はビロウに似ているがやや大きく裂片の先端が垂れない。