【76】びゃくしん

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

びゃくしん

びゃくしん


常緑高木。高さ15m、胸高直径30~40cmにもなる。
樹皮は赤褐 色、繊維質で縦裂する。
芯梢の葉は杉の葉に似て針状葉となり、老梢の葉は杉と桧の葉を交えた様に鱗片葉の両方が出てくる。
老木になると大部分が鱗片葉状になり、樹皮がはがれて幹がねじれてくる。
花は単性で春小さく咲く、庭園樹の「カイズカイブ キ」は園芸品種で老木の枝を挿木にする。
材は彫刻用に使われ本州中部から九州に生育する。
私の生家の近くの紀州御坊の本願寺別院にこのビャクシンの老木があって、そこから3kmほど離れた所にあった亀山城が豊臣秀吉によって亡ぼされ死亡した城主湯河直春のおんねんを持った人塊がこの木に落ちて大木がねじまがってしまったと子供の頃聞かされた。
中学に入って植物の時間に教えて貰うまで全く信じていた。
幼稚園の頃7~8人が手につないで幹を廻る事が出来なかったから円周3m以上もあったのだろう。