【75】ひば

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

ひば

ひば


常緑高木。「アスナロ」「ヒバ」「アテ」は方言で、前者は青森県で、後者は石川県能登地方で呼ばれており、それぞれ各県の県木となっている。
材は耐水性強く、ヒノキチオールの成分を含み殺菌力が強くシロアリにも強いので建築用土台、鉄道用枕木に好んで使われ、柾目が通直で輪島塗の盆等の木地に多く使われる。
木曽の五木の一つで尾張藩(愛知県)では、享保5年(1920年)禁木とした。後年享保13年(1728年)「ネズコ」「クロベ」を禁木に加えた。
青森の「ヒバ」は日本三大美林の一つ、石川県の「アテ」は江戸時代前期東北地方から5本移入し、現在内2本が成長し、高さ30m、周囲5mにも達している。
「アテヒ」は、古代語の高貴な桧という意である。「アテ」は東北から移入して当ったからという。
「アスナロ」は明日桧になる木だとか諸説がある。概形桧に似て、葉は桧より大きい。
井上靖の名作に『あすなろ物語』がある