【71】はんのき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

はんのき

はんのき


落葉高木。高さ15m~20m、胸高直径1mくらいになる。
北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国東北部、シベリヤの温帯の湿地に分布する。
早春葉に先だって、柄がついて垂れ下って、細長い円柱状で暗紫褐色の単性花をつける。
尾状花序は前年秋から枝上に現われる。 球果は秋に熟して暗褐色となり卵形で長さは2cm。葉は互生し、葉柄があり楕円形。
長さ5~10cm、下面の脈腋に綿毛がある。
関東平野の田園では田圃の稲掛け用に利用する。
田山花袋の「田舎教師」に「ひょろ長い榛の片側並木が田圃の間にひとしきり長く続く」とある。
北海道や東北地方の平坦な海岸の湿地にも榛林が広々と続いていることがある。
材は辺材多く白色で、心材黄色か暗褐色、加工は容易で建築材、船、器具、楽器の材料となる。
古くから樹皮の汁と果実は染料にしている。
やせ地でも根粒菌の力をかりてよく育つ。