【68】ねむのき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

ねむのき

ねむのき


落葉小高木。樹高6~9mになる。本州、四国、九州、朝鮮半島、中国に分布する。
日当りの良い原野や河岸を好んで 生育する。7月から8月の真夏、多数の雄しべが細長く娘さんの長いマツゲの様に出て紅色で美しい。
日本庭園には余り植えられないが広い樹影が出来るし、夢の様な紅色の花は観賞に価する。
広い屋敷や公園樹として良い。
春新芽がなかなか出て来ないのでねむっているのではないかとか、夜に葉がとじていかにもねむっているように見えるのでねむのきと呼ばれる。
マメ科の植物で、秋10~13cmの鮮褐色の扁平楕円形の豆果が出来る。
実は6~12個入っているが繁殖には春まきが良い。
ネムノキ属は世界の熱帯、暖帯に約100種あり街路樹に植えられているのが多い。
花は鮮赤色でいかにも南方の樹を思わせる。
先年行った南方フィジー島の街路樹に大きく樹冠の広がった「ネムノキ」の下を娘さんは既婚者と区別するためにペチコートをスカートの下に10cmばかり出して素足で歩いていた。
最近日本でもそれが流行になっている。