【67】 ねずみもち

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

ねずみもち

ねずみもち


常緑小高木。本州中南部、四国、九州、沖縄、朝鮮半島南部に分布する。高さ2~7m、直径10~30cm、樹皮は暗灰色。よく枝葉を茂らせる。
鹿児島では田の神、台所の神の大黒様への供花に榊のかわりにこの木を使う。
福岡県飯塚市では竈の神、荒神様に供えるので「オコージンシバ」という。
「ネズミモチ」はネズミの糞のように黒い実が枝先にいっぱいに実るのでこの名がある。
6月に咲く小花には蝶や蜂が集り、11月に熟する黒い実は野鳥が大好きである。
樹勢強健で土質を選ばない。成長も早く、公害に強く、日なたも日陰地にも成育し、耐潮性がある。
刈り込みに強いので、庭園樹や生垣に広く使われる。道路の中央分離帯などに植栽される。
葉や花、樹にある甘い香りから「サトーギ」 「サトシバ」といっている所もある。
材は緻密で道具類の柄、つえ、ようじにする。
葉と樹皮は傷薬、腹薬として使用される。