【66】ねずみさし

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

ねずみさし

ねずみさし


常緑針葉高木。雌雄異株。高さ10m、胸高直径20cmになる。本州、四国、九州、朝鮮、中国東北部に生育する。
瘠悪地でも成長する。
材の解剖学的性質は桧に似ており、芯材は濃褐色、  耐水性強く、床材、指物、仏像、風呂桶等に使用され、実より油をとる。
枝は多節で庭園樹、垣根に植えられ、葉がトゲ状でささるので「ネズミサシ」の名ある。
榁(ムロ)は「ネズミサシ」の古名で万葉集に大宰師になって九州へ行った大伴旅人が任地で死別した愛妻郎女を思い瀬戸内海を舟で帰京の途中、今の福山、鞆の浦で詠んだ歌に「吾妹子が見し鞆の浦のむろの木は常世にあれど見し人そなき」とある。
今も本州、四国で「ムロ」「モロ」と呼んでいる地方も多くある。陽樹で乾燥に強い。
繁殖は実生、さし木共に良い。