【65】ねずこ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

ねずこ

ねずこ


常緑針葉高木。高さ25m~30m、直径40cm~60cm、日本の特産で本州、四国に分布。
木曽の五木の一種で享保13年禁木となった。
樹皮は薄く帯赤褐色で平滑、光沢がある。 陰樹で幼樹の耐陰性が強く湿気の多い所でも育つ。成長は遅く、移植はむずかしい。
小枝の幅は1.5mmから3mmあり、「ヒノキ」より広く、「アスナロ」より狭い。葉は「ヒノキ」より少し大きい。
材は神代杉(埋木杉)の感触から特に天井板や長押、腰羽目、戸障子、和机、茶ダンス、下駄等に賞用さ れ経木材にも使われる。
樹皮は火縄用に使われた。
庭園樹としても良い。
私は名刺に「ヒノキ」「スギ」「サワラ」「キリ」「ネズコ」を使用しているが、先年東京の商社受付嬢にこの五種を示してどれが一番木らしいかと質問すると全員「ネズコ」が良いという返事であったので、爾来私は「ネズコ」の柾目で作った 名刺を愛用している。
富山県の黒部峡谷の名はこの「クロベ」が多かったのでつけられたようだ。