【61】なし

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

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落葉小高木。4月頃に新葉と共に白花を開く。
遠くから見ると全く雪が降ったようにという形容句通りで、あまり美し  いので、実をとるために植えられたことを忘れさせる。
実は7~10月で鳥取県に多く植えられ、長野県、茨城県、福島県、千葉県、埼玉県にも多い。
品種多く諸国に栽培され日本梨は「ニホンヤマナシ」から改良されたもので香りは少なく球形。
西洋梨は ヨーロッパ中部に自生した種類を改良、香り高く形は洋梨形。
中国梨はその中間で、万葉集にも出て来るので日本では古くから植えられているが、中国原産、リンゴ、北海道のナナカマド、カリン、庭園樹のボケ等もナシ科植物である。
長十郎と二十世紀の二種類が市場出荷の80%を占めている。
英語で「ナシ」のことを「サンドペア」ともいうが、実を食べると果肉の膜が厚いためジャリジャリした  砂のような歯ごたえがあるからである。
梨園は俳優の 枝を習う所から転じて役者仲間のことをいうように なった。