【59】とねりこ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

とねりこ

とねりこ


落葉高木、雌雄異株。高さ15m、直径60cm、本州中部以北の山地に自生し湿地に生える。
北陸地方では田の畔に稲架木として植えているものが多くタモノ木(田面の木)と呼ばれ、国鉄信越本線を北上すると長岡から新潟までの車窓風景として旅人の目を引きつける。
春新芽に先き立って4~5月頃に若枝の先に小さな花が円錐花序をなして咲く。
材は強くねばりがあるのでプロ野球のバットに使われる。
また鏡台、ろくろ細工、器具に使用する。
軟式野球ではヤチダモを使う。バットは柾目でまっすぐに通った良材を使わなければ折れる。
果実は狭長な翼のある果実で風で飛んで行く。枝を幾回もねじって、物をしばるのに使うから「十練り」なのだという。関東地方から中部地方東部にかけて「フジキ」と呼ばれる。
これも藤の木のように物をしばるのに適している木という意味なのだろう。