【57】とち

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

とち

とち


落葉高木。さ30m、直径2mにも達する。
北海道南部、本州、四国、九州に分布する。 東北地方に多く九州は少ない。
庭園樹、街路樹にも植えられるが、渓谷に沿った適湿の肥沃地を好む。
5~6月頃に枝頂に多数の黄白色の花をつけ、果実は倒円錐形で三裂する。
種子は光沢のある赤褐色の種皮をもち苦味があるので堅い皮をむいてから細かく刻み毎日水を換え10~15日間水にさらし、木灰を入れた温湯につけて苦味をのぞきさらに水にさらす。
これをすりつぶしもち米と一緒に練りだんごにして蒸したものがトチ餅で野趣があり美味しい。
材は淡黄褐色で板目が美しく柔らかで加工し易い。
漆器木地、机、家具、盆、板の間の地板、彫刻材、刳り物に使用し、パリの並木で有名なマロニエはこの木の仲間である。
県の木として栃木県が指定しており、県庁前の街路樹に植えられている。