【52】たらのき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

たらのき

たらのき


落葉小高木。北海道、本州、九州、沖縄に成育する。高さ5~6m、葉は1mにもなり紅葉はきれい。
若芽は山菜の代表、焼いて醤油をつける。またゆでて和え物、汁の実 はテンプラに良い。
初秋の頃白黄色の小花をつける。
木理は通直、軽くて柔らか。
材は箱、机、手鉤の柄、木魚、将棋の駒、盆、下駄、杓子、すりこ木に使用する。またこの木の髄で魚釣りの浮子をつくる。
岐阜県飛騨地方には主人の行動に絶えず監視の目を光らせるヤキモチ焼きの妻には、?の新芽を食べさせるべしという話がある。
「?の芽を食うとシカの角が落ちる」と各地でいわれるから?の芽の美味で妻の角を落とそうというわけである。
また人だけでなく山の動物にとっても好物で鹿や熊は春先には「タラノキ」と「ハリギリ」の皮をむいて食べる。
この時期は木の水上げが盛んで皮がむけ易く養分があって甘い。