【47】ずみ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

ずみ

ずみ


落葉小高木。
高さ6m~10m、胸高直径30cm~40cmになる。
花は 5~6月新生枝の短枝端に紅い蕾をつけ、開花すると白色五弁花をつける。実は9月紅熟する。
野趣に富んだ小白花を裳して庭園に植えられる。
材は櫛や器具に用いられ、樹皮は黄色の染料に使っ たので“染み”という呼び名が変化して“ずみ”になったといわれている。
樹皮は水につけておくと、しばらくして水が黄色に 変る。
長野県ではコナシと呼ばれ高原を歩けばいたる所で この群落に出くわす。上高地の小梨平はズミが群生するのでそう名づけられた。
ズミは日本ではリンゴの台木として有名である。
日本全土の北は、北海道から本州、四国まで広く分 布しているが、ズミのよく育つ、冷涼な地方はリンゴ栽培の適地である。
陽樹で水湿に富む向陽の地を好み、成長は早く萌芽力あり、せん定が出来るし、移植力あり、耐寒性に富む。繁殖は実生で秋の降霜後とり果肉を水洗いして陰干しし、常温冷所で貯蔵し3~4月頃播種すると良い。