【44】しゅろ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。


常緑小高木、雌雄異株。高さ3m~5m。本来は南九州の原産である。
日本国内広く暖地に植栽され、ヤシ類の中では耐寒性が最も強く北は東北地方まで栽培されている。鳥がシュロの実を食べてその実をばらまくので和歌山県、四国、九州に自生する。
5月頃黄色の花を無数につけ10月には黒色の実をつける。この実は鳥の好物である。
庭園樹にもよく植えられる。
シュロ皮で縄や敷物等を編み、ほうき、みの、刷毛等を作る。垣根などを結ぶシュロ縄は水湿に強い。
新しく植えた木の支えと植えた木を結ぶのにこのシュロ縄を使うがこれが腐る頃には木の根は充分に張って再度くくる必要がない。
若い葉は漂白して帽子、敷物、下駄やぞうり用の表を編む。
中国南部原産のトウシュロは葉がやや小さく、葉の先端が折れて下垂する事がない。
聖書に出て来る木の数は少ないがシュロはその少ない中の一つである。