【43】しなのき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

しなのき

しなのき


落葉高木。高さ15~20mになり日本特産。
北海道から本州、四国九州、対馬、中国東部等温帯に生育する。
夏に40個くらいの淡い黄緑色の花を葉のわきから垂れ下った集散花序につける。
香りがあって、この花から採れた蜂蜜はとくにシナ蜜とよばれ良品である。
材は軽軟であるが木理は緻密で、辺材は淡黄白色、心材は淡黄褐色で板にすると美しい波状紋が出来る。
建築器具、合板、箱、箸などの材料として広く用いられている。
樹皮は強靱で船綱、布、酒・醤油の袋、蚊帳等に使用する。
北海道のアイヌの熊の彫刻はこの木が使われていることが多い。また、ドイツ民謡に出て来るリンデン(菩提樹)は「ヨーロッパシナノ木」という。ソ連の木製人形で段々と小さな人形が一つの人形の中に十数個も入っていて日本のこけしのように愛されている“マトリョーシカ”の材料もこのヨーロッパシナノ木である。