【40】さんしょ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

さんしょ

さんしょ


(ハジカミ)、落葉低木。雌雄異株。
北海道、本州、四国、九州、朝鮮半島南部に分布する。山地に生育するものは高さ2~3mとなり、よく分枝する。 人家に植えたものはせいぜい1m~2mくらいにしかならない。 幹はいぼいぼで堅いのですりこぎに重宝がられ、杖にも良い。果実は香辛料、駆虫剤、発汗剤、健 胃薬に使われる。
4月には新芽を出し香木で田楽、寿司、吸物に添えられ季節豊かな感じを誘う。
葉をパチンと 両手でたたくと一層香気が出る。
この葉は互生し5対か ら9対の小葉からなる羽状葉で小葉は1cm~3.5cmの粗い波状の鋸歯がある。
枝のつけ根に堅いトゲがあるが、関西の有馬や京都府の山間部に植えられている木にトゲのない一品種を「アサクラザンショウ」という。
山陰地方の民謡に因幡の三人娘というのがあって、芸者衆が三人で姉娘、中娘、末娘のうれ頃を評した歌に合わせた踊りで客を喜こばすが、中娘の表現は『アサクラザンショをつけたような』と評する。
むべなるかな。