【39】さわら

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

さわら

さわら


常緑高木。高さ30~40m、直径1m以上となり、岩手県の早池峰山を北限として本州と九州の一部に分布する。
土壌湿度の高い肥沃な所を好み渓流沿いに多い。木曽の五木の一つである。
ヒノキによく似ているが葉が細く裏面の白斑がV字型になっているので区別できる。
庭園樹、生垣としてはヒノキよりも広く用いられている。
材質はややヒノ キより劣るが水湿に耐えるので桶類をつくるのには良い。材質はやや軽粗のため障子の骨等に使用される。
一時住宅公団の風呂桶はこの木に決っていたが大量の需要があったため、材の供給が伴わず辺材(シラタ)部分まで使用したため、数年で水漏れするようになり、全部がプラスチックの風呂に変更されてしまい、名古屋営林局管内熱田営林署では一カ年半分の滞貨で苦しんでいたが昭和40年9月からの建築材の暴騰ですっかり売却でき、私の同級だった署長は安堵の胸をなでおろしていた。
心材のみ使用していればこんな事にはならなかったのだが。