【38】さわぐるみ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

さわぐるみ

さわぐるみ


落葉高木。北海道、本州、四国、九州の温帯低湿地に分布する。
高さ30m、直径1mにも達し、幹は通直、樹皮は灰白色、5月に新葉と共に開花し、30cmにも近い長い尾状花序を下垂するので、遠くからでもすぐこの木とわかる。
果実は小さく堅果で翼がある。
材は「ヤマトギリ」と称し軽 く柔かく下駄材、経木、燐寸の軸木、白箸に使用される。
樹皮は丈夫で皮箕等の細工物や山小屋の屋根材、渓谷の丸木橋にもよく使われ人びとの生活との結びつきが強い。
本州では、渓流に良く育つので「カワグルミ」といわれるが、北陸地方は「コークルビ」、九州では単に「クルミ」、東北では「ヤシ」又は「ヤス」。
四国、九州では「ノブ」、中国地方は「コーダ」、秩父地方の「カルメ」、新潟県の「ドウハン」、徳島県の「カワズ」等いろんな呼び方をされている。
標準的に呼ばれている「サワグルミ」は静岡県、愛知県、長野県、岐阜県等の本州中部に於ける地方名称であったようで、又「ヤマギリ」と呼んでいる地方も多い。
いかに古くから親しまれていたか、「サワグルミ」の民俗の古さを物語っている。