【35】さかき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

さかき

さかき


(杜)、常緑高木。高さ8m~10m、時に15m、直径50cmにもなる。関東以西、台湾、中国、ヒマラヤに生育する。
神前に供し、神社に植えられ、神事に使われるのでこの字がある。また紀貫之の歌に、「おく霜に色もかわらぬ榊葉の香をやは人のとめて来つらへ」とある様に“小香木”で香ばしい常緑の意味である、という学者もいる。また一年中葉を青々と繁らせているので“栄樹”とも書く。
縁起の良いので神事に使われたのであろう。
葉は厚く、葉柄があり互生し、枝の上に2列に付き、長さ8cm前後で、先の法は鋭く細くなっているが、末端は丸く、つるつるしていて、質は強いがもろい。
本州中部ではこの木が少ないので“ヒサカキ”を代用しているのが多い。
材は淡褐色で辺材と心材との区別はなく、緻密で強靱なので、床柱、櫛、天秤棒、道具の柄、槌、刷毛、木地等に使われる。庭園樹としてもよい。