【32】こうぞ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

こうぞ

こうぞ


落葉低木。雌雄異株。本州各部、四国、九州、台湾で栽培が盛ん。
褐色の樹皮の繊維は強くミツマタ、コウノキ、ガンピと共に和紙の 主要原料である。
栲はコウゾから作られた布である。
春、葉がのびると同時に淡黄緑色の花を開く。
戦前は紀州日高川でも真冬凍りつくような川に入って樹皮をさらす風景が見られた。子供心に仕事とはいえ気の毒な事だと一心に思った事があった。
黒谷和紙で有名な京都府下黒谷では、昔ながらに楮から和紙を作っている。紙で作った座敷に敷く上張りは、柿のシブを塗っているので一層強い。ここの和紙で作った婦人帯は軽いので女房も愛用している。ネクタイは皺が寄って皮の様で使い易い。半天に作ってもらって冬は私が愛用しいるが軽くて暖い。
自然の物は贅沢品に思われる様になった。案外価格は 安いのに。