【30】くわ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

くわ

くわ


(カラヤマグワ)、落葉低木。
中国北部から朝鮮半島が原産。日本へはカイコと共に朝鮮半島を経て奈良朝以前に既に入っていた。温帯、暖帯に広く分布し、本州、四国、九州に生育する。
葉は養蚕に用いる。
材は優良な家具、建築装飾材、器具、寄木材に用いられる。樹皮は和紙の原料となる。
春には、淡黄 緑色の単性花を穂条に綴り花後イチゴのような実を結ぶ。熟すると紫色をていし、甘い味がする。口の周辺を紫色にして食した子供の頃がなつかしい。
幹は直立して分岐し、萠芽力大、繁殖は実性、桜木、取り木、さし木等種々可能である。
土壌を余り選ばない。
養蚕の場合一般に根刈仕立が多い。カイコが口から吐き出した糸で繭をつくり、人間がこのマユから糸を引き出して絹糸をつくる。
この絹糸で布を織る。
古代文化の高かった地中海沿岸地方に絹がなかったので中国から運んだ道が有名なシルクロードであることはよく知られている。
桑年とは桑の古字「?」より48才と読んだ。
私が木偏百樹を調べ始めたのがこの年で早や18年も経ってしまった。