【21】かりん

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

かりん

かりん


落葉高木。中国が原産。アメリカ、フランスなどでも栽培。8m ぐらいに生育する。
樹皮は毎年剥脱し、幹に青褐色の 雲紋を現す。春に淡紅色の五弁の花を開く。
花つきが 少いので見栄えはしないが、秋に黄色の長円形の10cmから 5cmの大果が樹上に多数着生して見事である。
材は、床柱三味線の棹、胴、家具、傘の柄など高級装飾用に使用される。
果実は堅くて酸味と渋味が強く、生食には適さないが、カリン酒や煮て砂糖漬けにして食し、また、薄切にして蔭干ししたものは、百日咳や痰切りの妙薬である。
果実を室内に置き、姿と香りを楽しむ最適である。庭園樹として日本庭園にもよくマッチする。
我が家にも二本、カリンの木があって、近くの喘息に悩んでおられる方から、その実を予約されて喜ばれている。