【20】からたち

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

からたち

からたち


落葉小高木。中国揚子江上流が原産。日本への渡来は古く1646年渡来、 万葉集にすでにその名がある。
「カラタチ」は唐橘、すなわち唐から来た橘との意である。紀州では「キコク」と呼ぶ、中国名枳殻(本来別種)の音読みである。
枝は 緑色2~3cmの長いとげがあり、生垣に多用される。春の終り葉に先立って五弁の小白花を開き、秋に3~4cmの球形の実が熟す。 果実は乾燥し、薬用に珍重される。
日本の栽培甘橘類は大部分カラタチを台木として接ぎ木され繁殖されている。
親和性があり、接いだ木の結果が早く、品質も良く、中国では800年前にすでに接ぎ木の 記録がある。
子供のころ、学校への往復にいつも見て通った垣根の枳を懐かしんで詠んだ北原白秋の「からたちの花」は、山田耕筰の曲と相まって日本歌曲の代表的名作となった。