【18】かば

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

かば

かば


落葉高木。樹皮は白色で、千島、北海道、本州中部、高原の陽地に 生育する。
樹皮は煙草入れ、刀の鞘、水桶、ヒシャクに用いる。樹液はヘアートニック、樹皮から皮なめし用  タンニン、材はパルプ用材として使用される。 シラカンバの樹皮は薄くはげ紙のようになるので、色紙や短冊、書物の表紙にもされる。
またよく燃えるので付け木や 燃料に使われる。
よく似た仲間の「ウダイカンバ」は雨の 中でも消えずに良く燃えるので鵜飼のたいまつに使われ、鵜松明、雨松明といわれている。材としては「ウダイカンバ」の方が良い。
結婚式のことを樺燭の典というが中国では カバノキ類の灯火を樺燭といい、途中消えないので樺の 皮を蝋に巻いて燭火にした。
現代は華燭の字に転化して しまった。
北欧民族、アイヌ民族はこの樹液から酒をつくる。ツルゲーネフなどのロシア文学におけるシラカバ林の描写は明治作家の憧れで武者小路実篤らの「白樺派」を生む。
長野県の木である。