【17】かなめもち

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

かなめもち

かなめもち


常緑小高木。高さ5m~10m。東海地方から西の暖帯丘陵地に生え、 中国の中南部にも分布する。
花は5~6月に小さな白花 が群生する。
この花序の白さをソバの花序になぞらえて 「ソバノキ」の名もある。
「アカメモチ」は新葉の赤い「モチノ木」という意味である。
「カナメモチ」の意味は この材で扇の要を作るからであるという説もある。
材は 非常に堅く、質も緻密で強い。
比重は0.98もあり、「ウバメガシ」や「アベマキ」等のカシ類とならんで日本産の材の中では最も重い。
そのため扇のカナメ、車両材に重用され、鎌の柄や牛の鼻環にも利用される。
庭園樹としてよく使われ関西の池田市から宝塚市の山手の住宅街の生垣に多く見られる。
新葉は赤く 燃えるような紅色を帯び、初夏の緑に華やかさを添える。
また小さな果実は秋から冬にかけて紅色に熟す。
生け垣の利用の歴史は古く既に平安時代の書物にその記述がある。