【15】かしわ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

かしわ

かしわ


落葉高木。カシワは炊ぐ葉すなわち食事に使用する葉、あるいは五月節句の柏餅に使う葉で、菓子葉というなどといわれている。
が、昔山に生えた柏の木は家ごとにその木が決まっていて父子伝来であったという。
子供心に覚えたこの柏の葉で包んでむした五月節句の柏餅の味は幾才になっても忘れられない。
ビニールで作った葉に包んだかしわ餅を食べている今の子供は可哀そうだし昔を知っている私には買って帰える気もしない。
北海道、本州、四国、九州、台湾、中国に生育する。
古くは神事に用い神聖視された。
葉は秋に枯れ落ちないで越年して初夏新葉が出る前に散る、楠と同じである。4~5月頃新葉と共に黄褐色の花が開く。
樹皮は魚網の 染料、あるいは鞣皮用、材はくさり難いので枕木用に  使われる。
実は粉に挽き団子にして食べる。