【14】かき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

かき

かき


落葉高木。中国揚子江岸が原産。日本原産説もある。
平安遺跡に既にカキの種が出てくる。日本人が改良した日本の代表的果物といっていい。
中国人の桃、ラテン系民族のブドウアングロサクソン民族のリンゴと比べることができる。
柿には香りがなく渋味をもっているのは日本文化のしぶさ。
材は堅く、辺材は黄色。心材は黒色で炉ぶち、高級家具に愛用されている。
唐木の黒檀もカキ科植物で心材のみ使用している。柿は紅葉もよいが葉が落ち真紅に熟れた実が残っているのはさらに美しい。
この美しさに魅せられた佐賀県有田の陶工柿右衛門の名は有名である。
渋柿は干したり、アルコールでさらすと甘くなる。
枝はもろいので竹に又木をつけてねじ曲げて折り落としたものだ、そのため柿の木に登ると枝が折れるから要注意。
人間の思い出というのは面白いもので、私は柿の実を見る度に郷里御坊の祭を思い出す。
糖分が多いと家内にすぐ止められ、思い出だけを食べることになる。