【12】えのき

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

えのき

えのき

落葉高木。高さ25mにもなる。本州、四国、九州に分布する。
「ヨノキ」、「ヨノミ」、「ユノキ」の方言あり、柳田国男は「ヨノキ」は(嘉樹)めでたい木、前川文夫は神が降臨する「タタエノキ」がタタが除かれて「エノキ」になったと考えた。「ユノキ」は「斎木」、神聖な木を意味すると各地で神と関係づけられ、お正月の餅花を榎につける所もある。
木偏に夏と書いて「榎」と呼ばすのも、その大木の緑陰が夏の憩の場であったからであろう。
昔は榎を街道の一里塚に植えた所が多く、老木の残っている所がある。
材は洋家具、馬鞍、土木用柄、滑車等に使い、板は欅に擬して使われる。
我が家の庭にも10mほどの榎があり、根の近くに隣家との境界があって、コンクリートブロックに変わり太い根を切られたので、第2室戸台風のときに、二階の窓から大きく倒れるのを見ながら如何ともできなかったが、丸ぼうずになったのに5年で元どおりになった。