【9】いたじい

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

いたじい

いたじい


(スタジイ)、常緑高木。高さ25m、直径1.5mにもなる。福島県以南の本州、四国九州、沖縄、済州島に分布する。
幹はよく分岐し多くの葉をつけるので防火、防風、防潮や生垣などの目的で植えられ、また公園に風致樹として植えられる。樹皮は黒灰色で初め平滑、しだいに縦に深い割れ目が入る。
「イタジイ」と「コジイ」を総称して単に「シイ」と呼んでいることもある。日本の照葉樹林を代表する樹である。
「イタジイ」の群落は普通沿岸地に見られるが、「イタジイ」は「コジイ」より暖い所を好むが面白いことに、その北限は「コジイ」より北によっている。
私が理事長をしている大阪木材利用普及研修センター(ウッドリーム大阪)の外壁に設計コンペで当選した設計者がぜひ濶葉樹を使いたいというので風雨に強い「イタジイ」を集成して使っている。
昔は材が鉄道の枕木に使われていた。心材は腐り難いので家屋の構造材にもてはやされている。 樹皮にはタンニンが多く、魚網を染めるのに使用する。
「シイ」の実は日本では農耕文化以前には重要な食糧源であった。