【5】あずさ

4代目理事長の中川藤一が上梓したもので、日本の百樹木についてのエツセイです。木偏(もくへん)のものを集めています。1986年12月12日に日本経済新聞の1面、春秋にとり上げられ大きな反響を得て、経営者自身の執筆出版の先駆けとなりました。写真はウッドリーム2階に展示してあります木偏百樹。

あずさ

あずさ


落葉高木。中国原産。日本では古くから植栽され、「キササゲ」と「アズサ」は同一視されている。桐に似て大きな葉を対生または三個輪生する。梅雨のころ枝の先に円錐花序を作って淡黄色の花をたくさんつける。
球果 は長さ30cmにもなり、「ササゲ」の莱(一般に、豆科のサヤをいう)のようなところから、木ササゲの名がついた。
材は白色で刻字、下駄等に使用する。
梓人とは大工の棟梁を意味し、中国では百木の長とせられている。そのため、天子の棺は梓で作られた。
版木に用いられたことから、版にすることを上梓といい、出版することを意味するようになった。
文学では梓弓は張る、引く、射る、くる等の枕詞に、また葉は痔の薬、果実は梓実とよばれ、煎じて利尿剤となる。
吉野如意輪堂前にも、また先日行った鎌倉の美術館の中庭にも大きな樹形のいい梓の木があった。