くみあい木偏百樹


木偏の漢字一字で樹木を表現している字を集めて見ようと思い出したのは昭和30年代も終わりの頃であったろうか。高度成長期への準備段階ともいうべき時で工業製品万能に向けて国民の心が動いて行きかけている時であった。総てが機能的に、能率本位に進みかけていた。自然の良さを忘れかけてきた頃である。木の名前を仮名文字で片付けられ、味気なく思っていたので、それぞれが意味のある漢字一字で木を現わす字を探して一般の人にアッピールする事が木材の普及に役立つのではないか。おすし屋の魚偏の文字よりはるかに多くある筈だというのが私の集め始めた動機であった。調べている内に和歌、俳句、川柳、詩歌でそれぞれの木をうまくいい表わしていることに感動したり、川柳を読んでいると人と木の拘り合いの中で心の底から笑いが込み上げてきて、喝采を叫びたくなるような句にめぐり逢い130余人の先生方の作品を入れさせて戴いた。木材、林業関係の人の中でも木材製品と樹木と両方の名前がすぐ判る人は少い。木材製品の名前がすぐ判る人は樹木を見てこの木は何だといえる人はいないし、樹木や葉をみるだけでこの木は何だといえても、さて木材製品になった板をみてすぐ名前をいい当てる人は少ない。そのため葉の繁った時、落葉した時、いろんな状況を織りまぜた樹冠を挿入して読者の参考にした。私は以前から日本の家紋が自然の木、花、昆虫の抽象化したすばらしい造形だと感心しているのでこの100選の中で私の知っている範囲のものを挿入してみた。

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ウッドリームにある木偏百樹

ウッドリームにある木偏百樹