梅・うめ

樹木から木までの散歩道は広報誌「あたらしい大地」に木、樹木、木製品となどのエッセイを書くように依頼されて始めたものです。木偏百樹にある日本の樹木をより現代に合わせ、もう少し詳しい内容を入れるようにして始まりました。途中、委員会での編集方針がかわり、このコーナがなくなるまで15回連載(4年間)の読み物でした。


造園の方法で袖ケ香(そでがか)というのがあるが、手水鉢の上に梅の木の枝がかかるようにして、雨がつたわって、手水鉢の中に落ちるようにしたもの。金魚を石の手水鉢で飼育し、すぐに死なせてしまった経験があるから、かなり効果があったのだろう。


中国料理は五味からなりたつといい、甘(あまい)、鹹(かん)(塩からい)、苦(にがい)、酸(すっぱい)、辛(からい)の5種がある。このなかで基本となるのは塩味と酸味で、微妙な加減で決まるといわれる。前者は海水から、後者は梅から得ていた。このことから料理の味加減をみることを「塩梅」(あんばい)という言葉で表現するようになった。谷崎潤一郎の細雪などにも「好い塩梅」という言葉が数回も使われている。