桧・檜(ひのき)

樹木から木までの散歩道は広報誌「あたらしい大地」に木、樹木、木製品となどのエッセイを書くように依頼されて始めたものです。木偏百樹にある日本の樹木をより現代に合わせ、もう少し詳しい内容を入れるようにして始まりました。途中、委員会での編集方針がかわり、このコーナがなくなるまで15回連載(4年間)の読み物でした。





最後に桧の語源について話しましょう。桧の木片から火を熾したことにより、「火の木」となった、という話が本によく書かれていますが、いろいろ調べて見ると、矛盾が出てきました。まず桧が一番に発火しやすいという事はありません。杉の方がまだ火付きやすい。また弥生時代からの出土ではスギの方が多いのです。また発火用の木材としては、ウツギ、榎、椨(タブ)も比較的多いのですが、よく乾燥した木ならばほとんど同じように熾すことが出来ます。桧は後の時代で特に神社関係に多いです。専門的になって恐縮ですが、学者の話によると、桧の「ひ」音は「ひ=hi」」音、火の「ひ」音は「fi=ふぃ」音なので別とされています。「ひ」という発音と「火」が後々になって結びついたのではないでしょうか。むしろ、高貴な木の意味の「日の木」の意味の方が説得力あります。


神戸市立森林植物園 のヒノキ

神戸市立森林植物園 のヒノキ