厚生労働省の審議会は、給料を「〇〇ペイ」などの電子マネーで支払う
「デジタル給与払い」の案をまとめ、来年度以降の実施を見込んでいると
の情報に驚いた。

そもそも、賃金は通貨で直接労働者にその金額を支払うのが原則としている。
 
現在、給与といえば銀行振込が当たり前ではあるが、50年程前までは現金
支給が当たり前だった。

それが、現在の銀行振込に替わるきっかけとなったのが、あの「3億円事件」
である。
 
もう54年前の事。
知らない人も多いだろう。

東京都府中市で起こった現金強奪事件。

冬のボーナス約3億円を、銀行から会社に輸送する車に白バイにのった警官 
に扮した男が近づき、この車に爆弾が仕掛けられているかもしれないと
呼びかけ、銀行員が車から降りたのを見計らい発煙筒を付けて、「爆発する」
と退避させたすきに男は現金輸送車に乗り込み、3億円をまんまと強奪した。
 
これを受け警察は莫大な捜査員、時間、お金をかけて捜査したが、結局、犯人
はつかまらず未解決のまま事件は幕を閉じた。

一滴の血も流さず、たった一人で実行したこの強奪事件は、20世紀における
日本最大のミステリーとも言われ、小説、ドラマ、映画など様々なメディアで
作品化された。

そして、この事件を教訓にし、給与支給のために現金を動かすことのリスクヘ
ッジとして、現在の銀行振込が確立された。

といっても、あくまでも臨時的な措置ではあるそうだが。

半世紀が過ぎ、
賃金は、現金支給から銀行振込、そしてデジタル化へ、時代は変わろうとして
いる。

給与がポイント? 通貨はもう必要ないの?
そのうち、お小遣いもお年玉も全てポイントになったら、孫たちにどうやって
渡せばいいのだろう?

便利になるのはいいけれど、財布の中の小銭たちを、いかに使って支払いをす
るか、わずかな時間で暗算するそんな小さな楽しみも奪われていくのか。
 
テクノロジーの進化は、逆に人間の本能の退化を進めていないのか?
 
自分は大丈夫なのか・・・考えると、ちょっとうすら寒いけど。

  
そういえば
あの犯人は、3億円の現金をどうしたのだろう?
まだ、手元に残しているのだとしたら、やはり○○ペイにチャージするんだろ
うな・・・。

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