「週刊文春」は、ご存知の通り、文芸春秋社が発行する週刊誌である。

今は、文春砲とも称されるほど、著名人のスキャンダルのスクープネタに事
欠かない、容赦なく砲弾を撃ちつけるイメージがあるが、それよりも、何と
も言えない雰囲気を醸し出している表紙絵の週刊誌という方が、個人的には
しっくりとくる。

掲載されている内容には興味はなかったが、個性的な表紙絵に惹かれよく書
店で手にとったものだ。 

 
表紙のイラストを手がけたのは、グラフィックデザイナーであり、エッセイ
スト、作詞作曲家、映画監督等々、多岐にわたり活躍されていた和田誠氏で
ある。

テーマは「都会のメルヘン」とされ、そのメルヘンを織り込んだ絵は、時に
優しく、時に温かく、懐かしさもあれば、未来的な作品もあり、毎号毎号丁
寧に描かれる題材は、

和田氏にとって
 
愛おしい生物であり
好きだったものであり
些細なものたちだった。


第一作の表紙絵は夜空の下で鳥がエアメールをくわえている絵でタイトルは
「時を超える鳥」でコンセプトは「読者へのおたより」

それから40年。2000作目の最後の作品は、夜空を背景に一羽の鳥が
飛んでいる。

この鳥は第一作目の鳥と同じ鳥なのだそう。

この2枚の鳥には、どんなメッセージが込められているのかの問いに
 
彼の答えは、「それは鳥が決めること」だった。

その答えの先に、第一作目のコンセプトを思い出す。

過激な記事でも
些細なゴシップでもなんでも

今でも、歌声が聞こえそうな、優しいドラマチックな表紙絵の作品達に恥
じないよう、編集者の方々には「読者へのおたより」を丁寧に発信してほ
しいと願う。

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