平和の象徴といえば「鳩」とくるところだが、今回は「猫」とさせていただ
いて。
日光東照宮に行かれたことはあるだろうか。
日光東照宮の奥社への参道の坂下門の手前、東回廊入り口部分の軒下に小さ
な「眠り猫」の彫刻がある。
説明の看板には「左甚五郎の作、牡丹の花咲く下に日の光を浴びて子猫がう
たた寝をしているところで光を現す絶妙の奥儀を極めている・・」とあるそ
うで。
なぜ猫なのか?
猫の彫刻は他の神社仏閣でも見られるが、多くは獲物を狙っている姿が描か
れており、数ある彫刻の中でもこの眠り猫の彫刻は特別といわれ、数々の逸
話も伝えられている。
例えば、最初は目を開いていたとか、禅の悟りの境地を意味するとか、眠って
いるように見せかけて、不浄なものは鼠一匹通さないよう、いつでも飛びかか
れるような体制で眠ったふりをしているとか。
注目すべきはもう一つあって、眠り猫の裏側の「遊ぶ雀」。
雀を襲う猫は、歴史的にも戦国乱世の象徴とも言われていて、その反対の眠り猫
と遊ぶ雀は「乱世の終わり、弱者が安心して暮らせる時代の象徴」とも言われて
いるそうだ。
猫が寝ているから、雀が楽しく暮らしていける。
江戸時代の平和の到来の意味が込められているという。
・・・・・
この半年で世界は一変した。
当たり前のように過ごしていた平和な日々が、いとも簡単に失われるなんて思い
もしなかった。
世界を巻き込んだパンデミックは、多くの傷跡を残しつつも、早晩、収束にむか
うだろう。
そして、また人類は何事もなかったように、平和な時間を取り戻すのだろう。
けれど、これからの世界、きっと予想もつかないことが起こるにちがいない。
油断は禁物と、古の世から「眠り猫」が教えてくれている。
大阪木材工場団地協同組合にもどる