ほとんどの人はテキーラと聞くと「強い」とか「キツい」が真っ先に出てくるが、その偏ったイメージはどこから来るのだろうか。
アルコール度数では、例えばウイスキーは加水やブレンドでだいたい43〜46度に調整されているが、他の多くのスピリッツ(蒸溜酒)はテキーラも含めおおむね40度。決して高い方ではない。(ウォッカの中には50度60度等もあるがそれはブランドの中のバリエーションだ)また、ウイスキーの多くは大麦、ライ麦、トウモロコシが主な原料であるが、ケンタッキーで作られトウモロコシを51%以上含むウイスキーをバーボン。スコットランドで製造される大麦のウイスキーをスコッチ。果実酒からつくられるブランディーの一種コニャックはフランスのコニャック地方でつくられたもの。スパークリングワインの中でもシャンパーニュ地方で作られたモノだけがシャンパンと称される。
このように見ると特定の産地で生産された特定の品種にその名称が与えられているようだ。テキーラも同様にメキシコ中部ハリスコ州にあるテキーラ市を中心に原産の竜舌蘭(ブルーアガベ)のみで作られている。(決してサボテンが原料ではない)
さらにテキーラ規制委員会が製法や原料、熟成に至るまで生産過程全般をチェックし違反者には法的措置が取られるなどの非営利団体が存在するほど厳しく管理されている。
ワインを含め多くのスピリッツは熟成樽を使い回すのと異なりテキーラは新樽を使用することが義務付けられ、蒸留直後から60日以内はブランコ、2ヶ月~1年以内をレポサド。オーク樽で最低1年以上寝かしたものをアネホ。オーク樽で最低3年以上熟成されたものをエクストラ・アネホ等に分類されている。混ざりけのない証にボトルには100%ブルーアガベと表示される由緒正しいお酒なのである。
元々糖分が少な目のテキーラではあるが、原料の竜舌蘭に含まれる「アガヴィナ」という糖分の一種は、身体に吸収されにくく、しかも血糖値を下げるホルモン、インスリンを分泌させる作用や、中性脂肪・コレステロール値を下げるのに効果があるといわれ、腸から脂肪を吸収するのを防いでくれる効果もあるとされていて、健康にも良いのかも!?
更にその歴史から「テキーラの産業施設群と竜舌蘭の景観」の名で、ユネスコ世界遺産にも登録されている。
高級なテキーラはワイングラスで飲まれるほど、芳醇な香りを楽しむお酒でもある。
ライムと塩でストレートで飲むのが王道だが、オレンジジュースでシェイクしたテキーラサンライズを始め、マルガリータ、マタドール、ビールにショットグラスでテキーラを沈めるサブマリーネなど耳にしたことのあるカクテルも多い。大阪でも毎年開かれるシンコ・デ・マヨやテキーラフェスタなどテキーラを楽しむ催し物も多く、本来ラテンリズムにステップしながら陽気に楽しむお酒である。罰ゲームでしか飲んだことがないなんてテキーラに失礼!